前回の記事では、キャリアの成功とは何かをはかる基準――「成功の物差し」は、周囲からもらうものではなく、自分で用意するものだと書きました。(第1弾をお読みでない方は、こちら「totolaboが考える、キャリアの正解とは。」からどうぞ)
その「自分の物差し」を実際に使おうとしたとき、多くの人の前に立ちはだかるものがあります。
「周りがどう思うか」という見えない基準です。

物差しは自分のものになったはずなのに、いざ選ぶ場面では「周りの目」が先に立つ。今回は、その困りごとの話です。
今回は、キャリアの選択をさまたげるその「見えない基準」について書きます。
決められないとき、基準はどこにありますか
転職するかどうか。今の仕事を続けるかどうか。何かを始めるかどうか。
キャリアの選択で立ち止まるとき、頭の中にはいくつもの声があります。
- この年齢で転職なんて、こう思われないかな
- こんな道を選んだら、「もったいない」と言われないだろうか
- 家族は、反対しないだろうか
- 親は、喜んでくれるだろうか
- 昔から知っている人に、どう見られるだろうか

選ぶ前に頭の中で会議が始まって、自分の声がいちばん後回しになる。私も、よくあります。
こうした声は、悪いものではありません。周囲の視点には、自分では気づけない情報が含まれていることもありますし、家族の思いは、無視できないものです。
ただ、totolaboが気にしているのは、こういうことです。
頭の中の声の多くが「他人の視点」なのに、実際にその選択と一番長く付き合っていくのは、自分だということ。

いちばん長く結果を生きるのは自分なのに、発言権がいちばん小さい。これが「決められない」正体かもしれません。
選んだ仕事で過ごす時間も、選んだ環境で感じる日々の気持ちも、周囲から見た評価ではなく、自分のものです。
だからtotolaboは、キャリアの選択について、「この選択は、いったい誰のものか」を問いかけることが大切だと考えます。
基準を自分に置くとは、周囲を無視することではない
ここで誤解してほしくないのですが、基準を自分に置くことは、周囲の意見を無視することでも、家族や身近な人を軽く扱うことでもありません。
たとえば、こういうことです。
- 周囲の意見は、参考材料として受け取る。ただし、最終的な判断材料の順位を決めるのは自分である
- 家族の不安には向き合う。ただし、不安をなくすために「自分の考えを握りつぶす」まではしない
- 「こう思われないかな」を思い浮かべたら、「私は、これをどう思うか」もあわせて思い浮かべる
周囲の声をゼロにするのではなく、様々な声の中で、どれが自分の声かを区別できるようにする。それが、基準を自分に置くということです。

周囲の意見は「捨てる」ものじゃなくて、「参考資料」として受け取る。判断の順位は、自分が持つ。それだけでもだいぶ楽になります。
これは一度できたら終わりではなく、選択のたびに繰り返す作業かもしれません。でも、この区別ができるだけで、「決められない」の質が変わると思います。周囲の声が多すぎて何も聞こえない状態から、「これは周囲の声、これは自分の声」と聞き分けられる状態へ。
「今の状況だから」という自分ルール
基準を自分に置くことをさまたげるもう一つのものが、「今の状況だから」という自分ルールです。
これは、周囲から言われるものもありますが、難しいのは、自分自身の中にできあがっている場合です。
特に、女性のキャリアについては、今の状況の複雑さをともなうことがあります。
- 結婚した
- 子どもがいる
- 子育て中で、簡単には身動きが取れない
- これまでの学歴やキャリアを考えると、まったく違う世界に飛び込む自信がない
- 今の職場環境には満足しているけれど、給料が見合っていない
こうした今の状況の中で、思考がこんな形で止まっていることがあります。
- 「子育て中だから、今は考えるべきじゃない」
- 「この歳から新しいことは、無理だから」
- 「環境に恵まれているんだから、欲張ってはいけないから」

この3つ、私も心の中で言ったことがあります。でも、言っていたのは「状況」のほうで、「私自身」のほうじゃなかった気がします。
注目してほしいのは、これらが「自分の意思」ではなく「今の状況」を理由にして、選択肢そのものを狭めてしまっている可能性があることです。
totolaboは、学歴・結婚・出産は、キャリアを諦める理由にはならないと考えています。
今の状況が変われば、これまでと同じようには選べないこともあります。でも、その中で選べるものまで、最初から諦める必要はありません。 子育てをしながら働き方を組み替える選択も、今の環境を土台にして少しずつ動く選択も、あります。
自分ルールを疑ってみるとき
「今の状況だから」というルールの中には、よく見てみると、今の状況そのものより、「状況についての思い込み」が強く影響しているものがあります。
- 「子育て中だから、時間はまったく取れない」――本当に、ゼロでしょうか
- 「この歳からは遅い」――「遅い」の基準は、誰が決めたものでしょうか
- 「欲張ってはいけない」――それは、誰に向けての遠慮でしょうか
すべての自分ルールを外す必要はありません。中には、自分が大事にしているものを守るために、自分で決めた良いルールもあるからです。
見分けるポイントは、こうだと思います。
そのルールのおかげで、自分は何かを選べるようになっているか。それとも、選ばないことを納得させる理由になっているか。
前者なら、それは自分の基準です。後者なら、一度、外してみてもいいルールかもしれません。

「そのルールがあるから選べるのか、選ばない言い訳になっているのか」――私の物差しも、この一問で見直しています。
今の状況は「枠」ではなく「条件」
totolaboは、今の状況を「これ以上動けない枠」としてではなく、「選択の条件」として扱うほうがいいと考えます。
枠として見ると、「何もできない」で思考が止まります。条件として見ると、「この条件の中で、選べるものは何か」という問いが立てられます。
同じ今の状況でも、問いの形が変わると、選択肢の見え方が変わります。
- 枠として:「子育て中だから、何もできない」
- 条件として:「子育て中だから、いま選べるのは、こういう形かもしれない」

同じ今の状況でも、「何もできない」から「何ができるか」に問いを変えるだけで、出口が見えてくることがあります。
そして、「今は動かない」と自分で決めたなら、それは、選ばなかったのではなく、「いまは動かない」を選んだということです。手放すにしても、続けるにしても、「選んだ」のと「選べなかった」のとでは、その後の気持ちの持ち方がまったく違うものになります。
まとめ:選択は、自分の基準で決めていい
この記事で書いたことをまとめます。
- 決められないとき、頭の中には「他人の視点」の声が多くある。でも、その選択と一番長く付き合っていくのは自分である
基準を自分に置くとは、周囲を無視することではない。様々な声の中で、どれが自分の声かを聞き分けられるようになること
- 「今の状況だから」という自分ルールは、今の状況そのものではなく、思い込みが強く影響していることがある
- 今の状況は「枠」ではなく「条件」。条件の中で、選べるものを問い直していい
- その結果「今は動かない」と選ぶことにも、価値がある
前回の記事で、「成功の物差しは、自分で用意するもの」と書きました。今回の記事は、その物差しを実際に使うために、最初に片付けておきたいものの話でした。
キャリアの選択は、重いものです。だからこそ、その重さを周囲の評価や今の状況への遠慮でさらに重くする必要はないのではないでしょうか。
totolaboは、一人ひとりが自分の選択を、自分の物差しで選んでいけるようになってほしいと考えています。

選択が重いからこそ、判断の基準は自分の中に。周囲の評価や遠慮で、さらに重くする必要はないと思います。



