前回の記事で、totolaboは「キャリアに正解はない。あるのは自分なりの正解だけ」と書きました。(第1弾をお読みでない方は、こちら「totolaboが考える、キャリアの正解とは。」からどうぞ)
その考え方をもう一歩進めると、こんな問いが浮かびます。
では、キャリアにおける「成功」とは、何だろう。
「昇進した人が成功」「年収を上げた人が成功」「自分の会社を持った人が成功」――世の中を見ていると、成功の形がまるで一つであるかのように語られがちです。

「成功」と聞いて、真っ先に思い浮かべるイメージは何ですか? それは、本当に自分で選んだものでしょうか。
この記事では、totolaboが考える「キャリアの成功」について書きます。
「成功」のイメージが、勝手に思い浮かんでしまう
「キャリアを積む」という言葉を聞いたとき、どんなイメージが浮かぶでしょうか。
多くの人の頭に浮かぶのは、こんなイメージではないでしょうか。
- 役職につく、あるいは役職への道が見えてくる
- 年収が上がっていく
- スキルが増えて、できる仕事の幅が広がっていく
- 外に向けて実績や肩書きを積み上げていく
こうしたイメージは、間違いではありません。そういう成功を追いたい人は、たくさんいます。そして、実際にそれを叶えて幸せな人もいます。
ただ、totolaboが気にしているのは、別のところです。
浮かんでくる「イメージ」が、いつも誰の頭にも同じように浮かんでくる、という事実です。
自分で選んだわけでもないのに、なんとなく「キャリアの成功とはこういうもの」というイメージが、先に用意されている。そして、そのイメージと自分の現状を見比べて、「自分はまだ成功していない」と感じてしまう。

モヤモヤの正体は、「自分が遅れているから」ではなく、その成功像がそもそも自分に合っていなかったから、ということがあります。
モヤモヤの正体がこれ、という人は少なくないと思います。
世の中的な「成功」と、自分の気持ちのズレ
「成功のイメージ」と自分の間にズレを感じたとき、多くの人はどうするでしょうか。
ズレたほう――つまり自分のほうを、疑いかけるのではないでしょうか。
- 「もっと頑張らないといけないのかな」
- 「みんなは上に向かっているのに、私はどうしてなんだろう」
- 「このままでいいのかな」と思いながらも、上を目指す気持ちがわかないことへの罪悪感

ズレを感じたとき、まず自分のほうを責めてしまう。でも、おかしいのは自分のほうではなく、世の中的な成功像のほうだった、ということがあります。
けれど、立ち止まって考えてほしいことがあります。
上を目指すことを「したくない」と感じるのは、怠けではない。
たとえば、こんな気持ちはありませんか。
- 今の仕事は好きだし、今のままでもっと腕を磨きたい
- 残業が少ない今の働き方に、家族との時間という大きな価値を感じている
- 役職につく同僚を見て「大変そうだな」と感じ、心底「うらやましい」と思えない
- スピードよりも、じっくり続けることのほうが性に合っている
これらは、必ずしも「成功への意欲が足りない」ということではありません。自分の物差しが、世の中的な物差しと違う場合もあります。

「うらやましい」と思えないのは、意欲が足りないからじゃなくて、あなたの「したいこと」が別のところにあるからかもしれません。
もちろん、上を目指したくない背景は、人によってさまざまだと思います。疲れているのかもしれないし、自信が持てないのかもしれない。その理由が何であれ、世の中的な成功像と自分の間にズレを感じていること自体は、間違いでも問題でもありません。
前回書いたとおり、「一般的な正解」がそのままあなたの正解にならないように、一般的な成功も、そのままあなたの成功になるとは限らないのです。
成功の物差しは、外からもらうものではなく、自分で用意するもの
totolaboは、こう考えています。
成功の物差しは、外からもらうものではなく、自分で用意するもの。

私の場合、「何を失いたくないか」から考えると、自分の物差しが見つけやすかったです。今、手放したくないものは何ですか?
同じ「成功」という言葉でも、中身は人によって違います。
- 給料を上げることが、ある人にとっての成功
- 副業で仕事の幅を広げることが、ある人にとっての成功
- 今の会社で頑張り続けることが、ある人にとっての成功
- 今の環境を大切にしながら働くことが、ある人にとっての成功
- 家庭や生活とのバランスを守ることが、ある人にとっての成功
どれか一つが、ほかよりも正しい、ということはありません。
「今の環境を大切にする」ことを成功と呼べるのか、と疑問に思う人もいるかもしれません。けれど、次のことを確認してみてください。
- 大切にしているものは、守れていますか
- それを守るために、自分で選択していますか
もしどちらも「はい」なら、それは、その人にとっての「成功」と呼んでいい状態なのではないでしょうか。肩書きや年収は、成功の条件の一つであって、成功そのものではありません。
自分の物差しを見つけるには、「満点」を決めない
「自分の物差しでいい」と言われても、「自分が何を大切にしたいのか、まだわからない」ということもあります。
そのときは、いきなり「自分の成功」を一言で決めようとしなくていいと思います。
代わりに、こんな問いなら答えやすいかもしれません。
- 「これだけは失いたくないものは何か」
- 「今の生活の中で、これは捨てたくない、というものはあるか」
- 「五年後に振り返ったとき、『続けていてよかった』と思えそうなことは何か」
成功の物差しは、合格点を先に決めるものではありません。「失いたくないもの」がわかれば、それを守ることが、その人にとっての成功の輪郭になる。
また、「失いたくないもの」から考える人もいれば、「こうなっていたい」から考える人もいます。挑戦してみたい、専門性を高めたい、収入を増やしたい――そういう人にとっての成功の輪郭は、何かを広げること、得ていくことかもしれません。どちらの入り口から考えてもいいのです。
「時間の自由」「人間関係の心地よさ」「専門性の深さ」「安定」――どれも成功の材料になりえます。並べる順位は、人それぞれでいい。
物差しは、一度決めたら変えないものではない
もう一つ、大切なことです。
自分の物差しを決めても、それが一生ものである必要はありません。
独身のときに「仕事のやりがい」を一番に考えていた人が、子どもが生まれて「時間の自由」を一番にする。それは、成功の物差しが揺らぐことではなく、自分の状況に合わせて、物差しが変わっていくということです。

物差しの見直しは、甘えや身勝手ではなく、メンテナンスです。状況が変わったのに物差しが古いままのほうが、不自然なんです。
だから、物差しを見直すことに、後ろめたさはいりません。「成功しているはず」のイメージに合わせ続けて、生活が苦しくなったり、心がすり減ったりするのは、本末転倒だからです。
「上を目指さない選択」は、停滞ではない
ここまで書いてくると、こう思われるかもしれません。
「自分の物差しでいい、と言われても。上を目指さない選択は、結局、成長を止めることでは?」
totolaboは、そうは考えません。
「上を目指さない」ことと「成長しない」ことは、別物です。
上を目指さないと決めた人は、その代わりに別の方向へ向かっています。
- 今の仕事の専門性を深くする
- 周囲との関係性を丁寧に育てる
- 仕事の外にある、家族や趣味、自分の時間を大切にする
- 今の環境の中で、少しずつできることを広げる
これらは、止まっているのではなく、自分の選んだ方向に向かって歩いている状態です。方向が違うだけで、歩いていることには変わりありません。

上を目指さない選択は、「進むのをやめる」ことではなく、「自分で進む向きを変える」ことだと思います。
「上を目指すべき」という他人の成功像に合わせることだけに追われて、自分の方向を見失ってしまうと、前に進んでいるはずなのに、どこへ向かっているのかわからなくなることがあります。
上を目指したいなら、それもその人の成功です。目指さないなら、それもその人の成功。大切なのは、どちらを選ぶかを、自分の物差しで考えているかどうかです。
まとめ:あなたの「成功」は、誰と比べるものでもない
この記事で書いたことをまとめます。
- 「キャリアの成功」のイメージが、世の中に共通のものとして勝手に用意されている。でも、それは誰かの成功像であって、あなたの成功像とは限らない
- 上を目指すことを「したくない」と感じるのは、怠けではない。自分の物差しが違うだけ
- 成功の物差しは、外からもらうものではなく、自分で用意するもの。そのためには「失いたくないもの」から考えるとわかりやすい
- 物差しは一度決めたら変えないものではなく、状況に合わせて見直していいもの
- 「上を目指さない選択」は、停滞ではない。別の方向に向かって歩いているだけ
- 上を目指すことも、目指さないことも、どちらもその人の成功になりえる。大切なのは、自分の物差しで考えて選んでいるかどうか
キャリアの成功とは、世の中的な順位の中でどこにいるかではなく、自分の物差しの中で、自分の選んだ方向へ歩けているかです。
自分の物差しが見つかると、毎日の働き方の見え方も少し変わるのではないでしょうか。「今はここにいる。次はこっちへ歩こう」と思えるようになる。逆に、物差しがまだ見つからないときは、頑張っているのに「まだだめだ」と感じ続けてしまうことがあります。
そして、物差しがまだ見つからない状態も、悪いことではありません。第1弾に書いたとおり、答えがまだ出ていなくてもいいからです。物差しを探している時間も、また自分のキャリアの一部です。

物差しがまだなくても、悩んでいること自体が、すでに「自分の物差しで考え始めた」証拠だと思います。
totolaboは、一人ひとりが自分の物差しを持って、自分の成功を自分で定義できるようになってほしいと考えています。その手助けとして、こうして考え方を書き続けていきます。



